「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン(以下、「MVNOガイドライン」といいます)」は、平成14年6月に、移動通信分野における競争促進、多様かつ低廉なサービスの提供による利用者利益の実現、及び、電波の公平かつ能率的な利用の確保を目的として策定されました。
早いもので、それから6年の月日が経過しておりますが、昨年、平成20年は、5月にMVNOガイドラインの再改定、8月に株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモによる接続約款の公表、また秋には2.5GHz帯周波数免許を取得した事業者がMVNO向け標準卸料金を公表するなど、MVNO事業モデルが大きな進展を遂げた1年となり、MVNOを推進するMVNO協議会としても、大変有意義な年となりました。
また、このようなMVNO事業モデルの具体化に伴い、有名企業によるMVNOへの参入表明も相次いで報道されるようになり、6年前にはほとんど誰も知らなかったMVNOという業態が一定の社会的な認知を得てきていることは、かねてよりMVNO事業の意義を説き、その普及に努めてきたMVNO協議会として、非常に誇らしく感じております。
ところで、最近、MNOが、他のMNOのモバイル通信網を利用してMVNO事業を行うことが進められていると聞いております。
確かに、MVNOガイドラインにおいて、MVNOとは、「@MNOの提供する移動通信サービスを利用して、又はMNOと接続して、移動通信サービスを提供する電気通信事業者であって、A当該移動通信サービスに係る無線局を自ら開設しておらず、かつ、運用をしていない者」と定義されており、MNOがMVNOになれないという定めはありません。
しかしながら、移動通信分野における競争促進、多様かつ低廉なサービスの提供による利用者利益の実現、及び、電波の公平かつ能率的な利用の確保、というMVNOガイドラインの目的に照らせば、MNOによるMVNO事業への参入が、MVNOを推進することによって当初企図していた目的と異なることは明らかです。
MNOが他のMNOのモバイル通信網を利用するMVNOになることは、移動体通信の基盤としてのモバイル通信網の拡大につながらず、電波の公平な利用に反するばかりか、移動体通信の担い手としての事業者の多様化にもつながらず、移動体通信の競争促進にも反しています。
また、そもそも、諸外国では、MNOによる周波数免許の取得はオークションによるものとされ、少なくとも兆円単位の初期投資が必要とされていますが、日本では、周波数免許の取得にあたり、MNOにこのような負担は課されておりません。日本のMNOは、国民共有の財産である周波数の使用権を電波利用料以外の対価を支払うことなく取得しているといえます。
このような特典に伴う公共的な責務として、MNOは、可能な限り広範囲にわたり、多様なモバイル通信サービスの提供を可能とし、公平かつ能率的な電波利用を実現する設備を構築し、国民の利便に寄与する通信サービスを提供すべきであると考えます。
にもかかわらず、周波数免許を持つMNOが他のMNOのモバイル通信網を利用するMVNOになるというのは、MNOがこの責務を放棄することに他なりません。
したがって、MVNO協議会としては、周波数免許を付与されている事業者(MNO)が他のMNOのモバイル通信網を利用したMVNOとなることは、そもそものMVNOの趣旨に反し、また、周波数免許に伴う責務の放棄につながることから、認められるべきではないと考え、ここにその意見を表明するものです。
近年、情報通信においては、デジタルデバイドやユニバーサルサービスという問題が表れてきておりますが、都市部だけではなく、地方においても快適なモバイル通信を享受できる環境を実現することは、MNOにしか解決できない課題といえます。
そのうえで、各地方にMVNOとして様々な事業者が登場すれば、多様かつ低廉なモバイル通信サービスの提供が可能となり、利用者利益の実現につながるのではないでしょうか。
MVNO協議会は、MNOとMVNOが、それぞれの責務を果たしながら公正なサービス競争を展開することにより、両者が健全な事業発展を遂げるべく、諸課題に取り組んでまいる所存です。
【添付資料】
報道資料
MVNO協議会設置要綱(別紙1)
MVNO協議会会員一覧(別紙2)
【用語の説明】
MVNO:Mobile Virtual Network Operator
(MNOの提供する電気通信役務または接続して、移動通信サービスを行う電気通信事業者)
MNO:Mobile Network Operator(無線局を自らか開設・運用し、移動通信サービスを提供する電気通信事業者)
<連絡先>
(MVNO協議会事務局 担当:大野)